今日は、なんか懐かしい話しなかったかいなあ…と考えてましたら思い出しました。こんな話し…。
もともとうちが若い頃は、菊水楼専属の舞妓と言う事もあり菊水楼か、叔母のお茶屋のつるやしか行ったらあかへん。…との事でめったに、よそのお座敷に行くことはありませんでした。しかし、ごく稀に、
「今日は四季亭さんの座敷の後 菊水に帰ってきて。あっこの女将さんやったら安心やさかい」
と置屋のお母さんにいわれたり、
「明日の昼席は知子ねえさん連れて来れるさかいすんだら菊水帰ってきて」
とか言われると、箱入り娘で他の座敷に伺う機会が少なかったうちは、ちょっとした遠足気分♪でした。
でも普段とは違いとても緊張しました。

その日は月日亭さんへ。タクシーで奥山へ向かいます。何もない少し不気味な山道…。未だに、あの道、あの山道がなんか怖いんです。なぜか?こんな短い距離やのに?…と言うほどこの道中、車に酔います。そんな月日亭さんへの出張。車酔いもマシになりお座敷が始まる前に仲居さんの着替え室で、待ちます。
夏場は山の中からか、やたら大きな蚊が、ゆらーりゆらり飛んできて、「きゃー」と何回叫んだことか。
おねえさん方と座敷が始まる前、1番年下の私は、何か用事はないか?気の利かん子やと思われないように、おねえさん方のする事を凝視してます。
そんな時、知子ねえさんが
「うちらの若い頃なあ、こっからなかなか帰られへん人いてましてな。」
「え…またおねえさんこうぃ話するんかな?」私の心の声 。聞いていると、
「側からみるとなあ〜、田んぼの周りぐるぐる回ってんねんわ。なかなか家たどりつかへんねんみー。それみてなあ、やーあのヒト狸に化かされてるわあ、気の毒になあ。って言ったもんや」…
少し奈良弁でわからないかともいらっしゃるかもしれませんが、
簡単に説明させていただくと、「誰か知らない人をこの近くで見かけたときは、田んぼの周りをぐるぐる回っていて。たぶんその人は、狸に化かされてるんだと思う。かわいそうだなと思ったものだ」というお話です。
うちは、何?狸?今時いるん?生まれも育ちも大阪で狸って動物園でしか見た事ありません。
まあそんな時代あったんかいなあ。とその時は頭の片隅に置いてましたがそれからまたしばらくして、月日亭におねえさんと言ったときのこと。
おねえさんと仲居さんが立ち話。「狸おるやん。ああ親子できてまんのん。へえぇ」…えー。狸って…なんか細いひょろっとしてるけど?狸なん??? (今思えばハクビシンだったのかなと思いますが)私は思わず、えらいこっちゃ。化かされたら怖い。帰りたいなぁ~と思ったのを覚えています。
おそるおそる、「こ、こんにちは。菊乃です。どうぞよろしくお願い致します。」

そしてそれからまた数年経った頃…。中村席でお座敷後に衣装を脱いでましたら玄関の扉があき、
勢いよく入ってきた知子ねえさんが。お母ちゃんに、「あんたどないしたん!その格好!」と言われてました。
おねえさんを見ると足袋は真っ黒で着物も髪も乱れていました。
「お母ちゃん○○ねえさん酷いわ。言い合いになって帰ってきた。草履も山道で鼻緒きれて」
2キロ少しある道を歩いて帰ってきたそうです。狸には化かされず帰ってこられましたが…。
そんなこともありましたね。でもほんまにそんな日本昔はなしみたいな話し現実にあったのかな?そのおねえさん今頃あの世でその話されているのでしょうかね。そんな、面白いお姉さんがいたなと思いだしている今日この頃でした。あまり意味の深くないお話でしたが、元林院の昔のおねえさんがたのお話もご紹介していきたいなと思い、書かせていただきました。
それではまた次回、他のおねえさんのよもやま話し させていただきます〜。狸に化かされませんように!?もしくは狐?
※よもやま話の意味は?
※よもやま話(四方山話)とは、「世間話」「様々な話題の話」を意味する言葉で、「四方山」には世間の様々なこと」という意味があり、色々な方向へと話題が移り変わり、ワイワイと会話をしている状況で使用します。

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