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 着物のコートと羽織はどちらも着物の上に身につけるものですが、どちらを着ていけばいいのか、選び方や用途の違いなど困惑することはありませんか?
 そこで着物の羽織・コートの種類やどのような場に適しているかなどをご紹介させていただきますね。コートや羽織がどういった時に使うものかなどを知りたい方はご参考にしてくださいませ。

着物のコート
 着物のコートはお洋服用のものと同様にあくまで外出用なので、部屋の中に入る時は脱ぐのがマナーですのでわすれないでくださいね。和装コートにも用途に応じて種類があり、また、襟のデザインによって全体の印象が大きく左右されます。

和装コートの種類
 以前は着物のコートと言えば道行きコートが一般的でしたが、最近は衿の形や仕立て方が異なるいろいろなデザイン、素材も加わって、着物や帯を選ぶように楽しめるようになってきました。
大まかなコートの違いを説明すると

・防寒を兼ねたタイプの冬に着るコート
・塵除けコート
・雨ゴート

の3つがあります。

雨ゴート
 雨ゴートは専用の生地で作るのが最適ですが、雨ゴート専用生地は種類が限られているので、気に入ったものがなくて後回しになることも多いでしょう。ポリエステルの小紋の生地から選んだり、既製品で仕立て上がった安価な品など多様な選択肢も増えてきているのでリサイクルショップなんかをみるのもいいでしょう。



塵除けコート
 塵除けコートや羽織は、帯付き姿で街を歩くには抵抗があるという方や、より着物姿のおしゃれを楽しみたい方などに好まれます。ご自身のお持ちの着物の傾向に合わせて色・柄を選んでおくと重宝します。
 羽織にするかコートにするかを迷われている場合は、室内で着たまま過ごすことをお考えなら羽織を、脱いで過ごすのをお考えならコートをおすすめします。ご自身の行動範囲や趣味などによって判断されるのが良いでしょう。

防寒コート
 冬の時期に重宝するのが防寒コート。寒がりの方や寒い地域の方はウール、フェイクファーや別珍などの防寒に適した素材を選べば真冬でも暖かく過ごせます。
 大きく広げると半円状になるウールの冬映えケープ。カジュアルで寒い日のお出かけにはぴったりです。



コートの衿タイプについて
・着物衿 
 お着物と同じ広衿でお仕立したコートです。着物衿は年齢や体格を選ばず便利に着こなせます。

・道行衿
 もっとも一般的な衿の形です。礼装用からおしゃれまで幅広くお楽しみいただけます。
 フォーマル感のある道行コートですと、お茶のお稽古など幅広くご使用いただけます。
 色合いを抑えめにしておけば、年齢を重ねても長く着用できます。

・道中衿
 普段着コートの形です。略式ですので、礼装には向かず、気軽なおしゃれ向きです。

・へちま衿
 落ち着いた雰囲気の衿元で、ご年配の方に人気です。
 最近は洋服のへちま衿ケープなどの流行もあり若い方にも人気です。

・千代田衿
 道行衿・道中衿に次いでメジャーな形です。
 お若い方からご年配の方にまで人気があります。
 道行衿に比べると若干カジュアルな雰囲気に。

コートのTPO
 コートは、目的地に着いたら必ず脱ぐのがマナーですので、着物や帯ほど明確な第一礼装、正装、略礼装などの明確なルールはありません。TPOは、その日の天候や、着物の素材や色柄に準じて判断して問題ないと思います。

今度は、着物の羽織のお話

 かつては防寒・塵除けなどのために重ねて身にまとっていた羽織。現在は紋紗やレース生地などの素材も好まれ、春から夏にかけても羽織を纏う人も増えてきました。素材次第とは言え、羽織は通年のワードローブへと変化しています。羽織はコートと違って前が開いているので、着物を見せながら色や柄合わせをしていくことでコーディネートの幅が広がります。また、コートとは違い室内では着れるという点もあり、帯に自信がない時の帯隠しなどに重宝されますので帯結びを練習中の着付けビギナーさんにもおすすめです。

羽織の歴史

 羽織は洋服でいうとカーディガンのようなもので、コートと違い、お茶室以外では室内で着たままでも脱いでも良いものです。室内で着用できることから単衣羽織や紋紗やレースの羽織など、薄手の素材を楽しむ人も増えています。

 羽織はもともと男性のもので歴史は浅く、女性が着用を許されたのは明治に入ってからのことでした。大正時代には、良家の子女を中心に流行しました。

 その後昭和10年代と40年代に二度ほど爆発的なブームがありました。昭和10年代~20年代は誰もが当たり前のように羽織っていて、昭和30年代後半~40年代はお子様の入学式・卒業式に出席する際の母親の装いとして黒い羽織を羽織るのが定番となりました。また、総絞りの羽織も流行しました。
 家紋の付いた黒の羽織は略礼装で、昭和30年代後半から40年代の子供の入学式・卒業式にお母様方が必ず羽織っていました。

 羽織も着物と同様に、柄ゆきで着ていく場所を決めます。落ち着いた色の無地の羽織なら準礼装に着ることが出来ますが、基本的には礼装には向きません。おしゃれ着や街着には小紋柄や絞り、紬の羽織が合います。

丈は流行により、長くなったり短くなったりしています。現在は膝丈が主流です。

羽織を着る季節は?

羽織は「紅葉が赤くなったら着る、桜が咲く頃に脱ぐ」とおぼえておくと、日本全国で対応できます。

ただ、単衣の季節なら、単衣仕立ての夏羽織りを着用できます。絽、紗など通気性の良い素材を用いる夏羽織は着物が透けて見えて涼しげです。

羽織のつくり

きもの 永見さんから引用させていただきました。

羽織紐

帯の上線と、帯締めの真ん中あたりに羽織紐の中心がくるのが良いバランスとされています。紐を結ぶタイプの場合は帯締めと同じ方向に。ビーズタイプやとんぼ玉、組紐など様々な種類がありますので着物と帯のバランスを見ながら、お好みで楽しめます。

袖丈

着物の袖丈と同寸か、一分か二分短く仕立てると、着物の袖が振りから出てくることを避けられます。

マチ

コートにも着物にもない部位。たたむときはマチの中心を脇線と見立てて。

衿の後ろ

後ろで衿を外側に半分折り返して着用します。

たてに折り返してある全体が衿です。広幅分の衿を織り込んで仕立て、衿にある程度の重みを持たせておくと、前下がりで衿がひっくり返りにくくなります。

乳(ち)

羽織紐の両端や、S鐶(かん)を止める部分。乳の位置はとても大切で、羽織った時に帯の上線と帯締めの間に来るとバランスが良くなります。胸板が厚い人やふくよかな人、衿をたくさん抜いて着物を着る人は標準の場所に乳を付けると、羽織紐の位置が高くなってしまいますのでお仕立の時は注意が必要なポイントです。

羽裏

羽織の裏地。きれいな色や柄を入れれば、脱いだ時におしゃれです。

羽織の着方

・衿の後ろを折る

羽織を着る際、衿は肩から後ろの部分を、「外側」に半分折って着用します。羽織の着方に関して、この衿を折る扱いが上手に着こなせれば上品な雰囲気が出ます。

着物の衿のカーブに合わせて、添うようなイメージです。
うまく折られていないと、着物が衿に隠れてしまい、背後から見た時に不格好になるので注意が必要です。

肩口から下は、自然に外側に折り曲げます。

羽織の脱ぎ方

脱ぐ際は、両方の袖を一緒に引きます。この時、両手を背中の方に持って行き肩からスルスルと落とすように下に引きましょう。肘まで落としたら、片方ずつ脱ぎます。
脱ぐときは、後ろ向きで行うと気品を損なわずに済みます。特に訪問先では注意したいですね。

基本的に、お茶席以外であれば室内でも特に脱ぐ必要はありません。ただし、そのまま座るときは裾を踏んでしまわないように気を付けましょう。長羽織は特に羽織の裾を踏みやすいので脱いだほうが良いでしょう。シワになるのを防げますし、座っている姿をキレイに見せられます。

羽織の丈

羽織の丈は流行によって長さが変わります。戦前は長め、戦後は短め、現在はやや長めのものが多いようです。昨今は膝丈ぐらいの長さの羽織が主流となっています。

長羽織

膝下まで長さがあるものを長羽織と呼びます。長羽織は丈が長いぶん、エレガントでセミフォーマル的な印象があります。室内だと屈んだり、座ったりする時に羽織の裾を踏みやすいので、室内では脱いだほうが良いです。

また、お仕立てする素材によって長さを変える場合もあります。

例えば、重ためのしっかりとした質感の生地ですと丈が長すぎると重たい印象になるため短めにお仕立てすることもあります。

逆に、紗やレースなど軽やかで透け感のあるです素材と、丈が短いと余計に軽く感じてしまうので長めのお仕立てをおすすめする場合もあります。

このように、羽織やコートの丈感はその時代の流行や選ばれる素材等によって変わるものですので、一概に「この長さ」という決まりはありません。呉服店で相談しながら寸法を決めるのが安心です。

いかがでしたか?今回、うちも調べてみて知らないことがあったりとお勉強になりました。おおきに~





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