
今年もあと少し、皆様おおきにありがとうございました。年の瀬。そろそろお正月の準備を始めようという方もいらっしゃるかと思います。
お正月の準備と言えば、お正月飾りが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。今まで飾ったことがない方でも、最近ではモダンでおしゃれなお正月飾りがたくさんあるので「今年は飾ってみようかな」という方も多いはず。
しかし、実際飾ろうとなると、
「いつから飾るの?」
「まだ誰も飾ってないけど・・・」
「仏滅の日は避けた方がいい?」
など、疑問がわいてくるかと思います。
ここでは、お正月飾りぞれぞれの意味を解説しながら、いつからいつまで飾るのか、そして飾った後の処分はどうしたらいいのか徹底解説していきます。
1.正月飾りとは?
①年神様をお迎えするための飾り
お正月飾りとは、お正月の福の神である「年神様(としがみさま)」をお迎えするための飾りものです。私たち日本人は、古来、正月行事として家に年神様をお迎え、お祀りすることを行ってきました。
お正月飾りの代表的なものには、「門松」「しめ飾り」「鏡餅」があります。
門松は、お正月に年神様が家におりてくる際の目印となるものです。
しめ飾りは、清浄で神聖な空間を作り出し、しめ飾りより内側は結界になります。
鏡餅は、神様が宿る依代(よりしろ)です。昔は、鏡は神様が宿るものといわれていました。そのため、正月には餅を鏡に見立てた鏡餅を飾るようになったといわれています。
②年神様とは、家族の幸福と健康を授けてくださる神様
お正月にお迎えする年神様は、「正月様」「歳徳(としとく)様」「若年様」などとも呼ばれ、1年間の家族の健康と幸福を授けてくださる福の神として、信仰されてきました。
年神様がいる方角のことを「恵方(えほう)」といい、何をするにも縁起のいい方角とされてます。
③お正月飾りをする人は約3割
(出典:年越しそば、正月飾り、七草… みんなどれくらいやっている?年中行事の実施率(松井博代) – 個人 – Yahoo!ニュース )
お正月飾りは大切にしたい日本の文化の一つですが、アンケートによると、お正月飾りをする人は3割程度です。
しかしながら、最近ではおしゃれなお正月飾りもたくさん販売されています。ロフトなどの生活雑貨店や、Amazonや楽天のオンラインショップでもおしゃれなお正月飾りが豊富にあり、手軽に購入することができます。
まだ間に合いますよ~ぜひ皆さんも新年を迎えるにあたっておかざりしてみませんか?
2.正月飾りの持つ意味は?
① 門松は神様をお迎えするための目印

門松は、縁起物の代表格である松竹梅のうち松と竹を組み合わせた、とてもおめでたい正月飾りです。
年中色が変わらない常緑樹や青木には神様が宿るという古来の考え方によるもので、門松は歳神様が家に訪ねてくる際の目印であり、神様の依代(よりしろ)とも考えられています。
門松の風習は、平安末期から鎌倉時代にかけて普及したとされています。現在のように、竹を真ん中に立てて周囲に松を飾るという形は、江戸時代、徳川家の繁栄を願ってこの形が考えられたそうです。左右一対になったのも江戸時代以降といわれています。
② しめ飾りは清浄で神聖な空間を作り出す

新年、年神様をお迎えするのにふさわしい、清浄で神聖な空間を作り出すのがしめ飾りです。しめ飾りとは、注連縄(しめなわ)に縁起物を付したものです。
注連縄という漢字は、「清浄さや結界をつくるために、神の威力を注ぎこむ稲藁を連ねた縄」という意味に由来しています。
また注連縄は、俗界と聖域を区切る役割もあり、外から災厄が入り込むことを防ぐ、「しめ出す」という意味合いもあります。
起源は古事記に由来し、天照大神様が天岩戸から出てきたときに再び入ることができないよう、天岩戸に注連縄を渡し入り口をふさいだことが始まりと言われています。
③ 鏡餅は神様が宿る依代

鏡餅は、お正月の間に神様が滞在されるための依代(よりしろ)です。
鏡は、日の光を反射し太陽のように光ることから、日本では昔から神様が宿る神聖なものと考えられていました。
そこで、正月に飾るお餅を、神様が宿る神聖な鏡に見立てて「鏡餅」と呼ぶようになりました。鏡餅が二段なのは、「円満に年を重ねる」こと、餅の大小は、陰と陽・月と太陽を表現しているといわれます。
➃ 正月飾りを彩る縁起物
正月を彩る縁起物は鏡餅としめ飾り以外にもあります。
それぞれに正月にふさわしい意味がありますのでご紹介します。
・ 紙垂(しで)
注連縄や神社の玉串につける特殊な紙です。雷を表しているとも言われ、落雷があると雨が降り稲が豊作になることに由来しているともいわれます。

・橙(だいだい)
常緑樹の実である柑橘類は不老長寿の実と言われ、橙はその語呂から“代々”繁栄するようにとの願いが込められています。

・ 譲り葉
新しい葉が出てから古い葉が落ちるので、家督を子孫に譲り、家系が続くことを表します。

・ 昆布
養老昆布(よろこぶ)の語呂に通じ、古くは「広布」(ひろめ)とも言われたことから、喜びが広がる縁起ものとされています。また、「子生婦」(こんぶ)と書くことから、子孫繁栄を願う縁起のいいものでもあります。
・裏白(うらじろ)
シダの一種で、表面は緑色ですが、裏面が白いので後ろ暗いところがない清廉潔白の心を表します。また、葉の模様が対になって生えているので、夫婦仲むつまじく相性のいいことや、「穂長」ともいわれることから長寿の象徴でもあります。

2-4-6. 串柿(くしがき)
干し柿を串に刺したもの。鏡餅の上、橙の下にバランスをとっておきます。
鏡餅、橙、串柿はそれぞれ「八咫鏡(やたのかがみ)=鏡餅、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)=橙、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)=串柿」の三種の神器を表すとも言われています。
また、外側の両端に2つずつ、中央に6つを刺しているのは、「外はにこにこ、内睦まじく」という意味が込められています。

3.お正月飾りはいつから飾る?
① 12月13日以降、大掃除が済んでから
12月13日は、「正月事始め」と呼ばれる習わしで、お正月の準備を始める日のことです。
お正月に神様を迎えるために1年の汚れを払い清める「煤払い」や、門松にするための松を山に取りに行く「松迎え」など、この日から、お正月に向けて準備を進めます。
お正月はこの正月事始めである12月13日以降であればよいとされています。
ただし、神様をお迎えする準備ですので、お正月飾りは大掃除を済ませ、家が清浄になってから飾るのがよいでしょう。
ただ、クリスマスや大掃除が終わるタイミングとなると、12月26日以降の方が多いのかもしれません。
② 12月29日と31日は避けましょう
12月29日は「二重苦」を想起させるので避けましょう。また、葬儀と同じ「一夜飾り」となってしまう12月31日の大晦日に飾るのもよろしくないとされていますので、12月30日までには飾るようにしましょう。
③ 仏滅の日でも大丈夫
六曜は、あくまで古代中国の考えをもとにした俗信の一つですので、日本古来のしきたりであるお正月飾りを飾るのには特に関係ありません。したがって、仏滅の日に飾り始めても全く問題ありません。
今年(2022年)は12月27日が仏滅にあたりますが、ちょうどクリスマスが終わり、大掃除も終える頃でしょう。仏滅の日ということは気にせず、お正月飾りを飾り始めて構いません。
4.お正月飾りはいつまで飾る?
①門松としめ飾りは「松の内」まで
門松としめ飾りは、「松の内」まで飾っていて構いません。なお、松の内とは、正月事始め(12月13日)から年神様がお帰りになるまでの期間を指します。「注連の内」「標の内」「松七日」ともいいます。
「松の内」の期間は地域によって異なりますので、気になる方は家族に聞いてみるなどしてみましょう。
・関東地方他は1月7日まで
一般的に、関東は1月7日までが「松の内」とされます。したがって、1月7日の夜や1月8日の早朝に門松としめ飾りを外しましょう。
関東の松の内が1月7日であることは、徳川家光の命日20日を避けて鏡開きが1月11日に変更されたことにともない、松の内も前倒しされたものと考えられます。
関東のほか、東北や九州も同じく松の内は1月7日までです。
・関西地方は1月15日まで
一般的に、関西地方では小正月の日である1月15日までが「松の内」とされます。門松としめ飾りは、1月14日の夜や1月15日の早朝に片づけるようにしましょう。
②鏡餅は鏡開きの日まで
お供えした鏡餅を下げる、鏡開き。
門松やしめ飾りを片付ける時期とは別に、鏡餅は「鏡開きの日」まで飾っておくことができます。
古くからの習わしということもあり、地域によって異なりますので、家族の方に聞いてみてください。
・一般的には1月11日
一般的には、1月11日が鏡開きの日とされています。
実は、本来全国的に鏡開きの日は「20日」とされていました。しかし、徳川家光が亡くなったのが4月20日であることから、江戸幕府が20日を忌日としたことをきっかけに、鏡開きの日を1月11日に変更されたといわれています。
・関西地方の一部は1月20日
松の内が1月15日まで続く関西地方では、鏡開きの日は1月20日のところが多いです。
本来、全国的に鏡開きの日は「20日」でしたが、徳川家光の命日である「20日」を忌日として避けた江戸幕府の方針が十分に行き渡らなかったためか、関西地方の鏡開きはそのままいまでも20日なのです。
ちなみに、同じ関西でも京都の鏡開きは「1月4日」と早い時期とされています。
さて、お正月飾りの意味を知るとおもしろく、どれも縁起の良いものですので、新年を迎えるにあたって是非家に飾りたいという気持ちになってきたかと思います。
おさらいすると、
・お正月飾りは年神様をお迎えするためのもの
・お正月飾りは、12月13日以降、大掃除を済ませてから飾る
・お正月飾りは松の内・鏡開きまで
日本古来の古き良き文化は、意外と身近なところにあるものです。
決して難しいことはありませんので、お正月飾りを飾って年神様をお迎えし、ご家族の幸せと健康を願いましょう。
<参考資料>
岩上力(2003)「京の宝づくし 縁起物」光村推古書院
神社本庁教学研究所監修(2014)「神道いろは―神社とまつりの基礎知識-」神社新報社
※少し変わったお正月飾り
正月飾り 掛け蓬莱
正月飾りは神さまをお迎えする形の表れであり、神さまを迎える依代(よりしろ)として、古来より常緑樹が用いられてきました。かつては榊、樫が使われてきましたが、平安時代頃に松、鎌倉時代に竹が使われるようになったといわれています。冬にも葉の色を変えない常磐木(ときわぎ)の緑は、人々に生気を与えるものとして尊ばれ、神さまが降臨する神聖なものと考えられてきました。
蓬莱飾りは、三方上に米を盛り、熨斗鮑(のしあわび)、伊勢海老、搗栗(かちぐり)、昆布、穂俵、串柿、橙(だいだい)などを飾った新年のお祝いものです。また、蓬莱台は、神仙が住むという蓬莱山の形を松竹梅や亀甲、尉姥(じょうば)などで作った飾りです。関西では、これを成長を願って床柱などに飾る風習があり、掛け蓬莱といいます。この正月飾りは、長寿を祈り、日陰の葛(かずら)が長ければ長いほど上品とされ、関西の山に行くと長さ二〜三メートルになる日陰の葛が這いつたう様が見られます。その様を尾長鶏の長い尾に模して不老長寿を願う地方もあります。

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