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 舞妓さんを彩る大切な小物、簪。月毎12ヶ月違い日本の四季を細かく表す大切な小物です。奈良は奉公制度はなく舞妓の衣装や簪は菊水楼の岡本博行社長さんが用意してくれてました。私は内舞妓(お茶屋の娘や屋形の娘でサラブレッド?)と言う事もあり、特別扱いしていただき、えらい可愛がっていただきました。
「菊乃、ええべべ着て一流の舞妓はんになって」と言う願いと、「他の子と一緒にしたらあきまへん」…と叔母にも言っていたようで里心もつかさんように、親や実の姉とも一緒にいると嫌がられました。
 簪は最初の数年は菊水楼の12ヶ月飾ってある簪の棚から月の終わりにその月に挿していたのを返し挿し返したり持って帰ったりしてましたが照明で焼けていたりすることもあり顔に映えないなあと思いまして月2回いただくお休みの日に京都の幾岡屋さんにお給料を貯めて買いに行ってました。
 毎月とても楽しみで小物や歌舞伎に目覚めた私は南座の昼の部夜の部の合間にいそいそと求めに行き、幾岡屋のお父さんに会ってお話しを聞くのが楽しみでした。
 今はもうエエ歳なんで(笑)可愛い簪はつけれませんが舞妓時代は普段に挿す簪も大切に扱ってました。

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